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セブ島留学はどの国の法律で決まるか

公開

セブ島の語学学校に申し込むとき、契約書の言語も、支払い先も、日本の外にあることがあります。

その契約でもめたとき、どの国の法律で判断されるのか。ここには条文があります。法の適用に関する通則法11条です。

選んでいなければ、住んでいる国の法律になる

11条2項はこう書いています。

消費者契約の成立及び効力について第七条の規定による選択がないときは、第八条の規定にかかわらず、当該消費者契約の成立及び効力は、消費者の常居所地法による。

「第七条の規定による選択」は、契約書で準拠法を決めることです。決めていなければ、消費者が住んでいる国の法律になります。日本に住んでいるなら日本法です。

相手の国の法律が書いてあっても、道は残る

契約書に「本契約はフィリピン法に準拠する」と書いてあることがあります。その場合でも11条1項が道を用意しています。

消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、当該消費者契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する

読みどころは「特定の強行規定」と「意思を表示したとき」です。前者は、日本法がまるごと適用されるのではなく指定した規定だけが上乗せされる形を指します。後者は、黙っていても適用されないことを意味します。

つまり、契約書に相手の国の法律が書いてあること自体は行き止まりではありません。どの規定を適用してほしいのかを名指しして、相手に伝えるという手順が残っています。何を名指しできるかは、その契約が日本の事業者との契約なのか、現地の学校との契約なのかで変わります。

ただし、外れる場合が並んでいる

ここまでなら「日本に住んでいれば守られる」で終わりますが、11条6項が例外を置いています。1号がこれです。

事業者の事業所で消費者契約に関係するものが消費者の常居所地と法を異にする地に所在した場合であって、消費者が当該事業所の所在地と法を同じくする地に赴いて当該消費者契約を締結したとき。

現地へ行ってから、現地で契約したときです。語学学校を見学してから申し込む形は、ここに当たりえます。

2号は履行の場所です。

事業者の事業所で消費者契約に関係するものが消費者の常居所地と法を異にする地に所在した場合であって、消費者が当該事業所の所在地と法を同じくする地において当該消費者契約に基づく債務の全部の履行を受けたとき、又は受けることとされていたとき。

授業が全部現地で行われる契約は、この形になります。セブ島留学は、まさにこれに当たる書き方をされています。

分け目は「どこで勧誘を受けたか」

ところが1号にも2号にも、ただし書きが付いています。2号のただし書きはこうです。

ただし、消費者が、当該事業者から、当該事業所の所在地と法を同じくする地において債務の全部の履行を受けることについての勧誘をその常居所地において受けていたときを除く。

読むべきは「勧誘をその常居所地において受けていた」の部分です。日本にいるあいだにその事業者から勧誘を受けていたなら、例外の例外として戻ってきます。

日本で勧誘を受けていた

  • 6項のただし書きに当たりうる
  • 11条1項・2項に戻る
  • 日本の強行規定の適用を主張する道が残る

日本では勧誘を受けていない

  • 現地へ赴いて契約した(1号)
  • 履行が全部現地(2号)
  • 6項本文で11条の各項が適用されない

契約した場所ではなく、勧誘をどこで受けたかで分かれる

現地の学校との契約で、日本法の強行規定が及ぶかどうか(通則法11条6項)

エージェントの広告を日本で見て、日本で説明を受けて申し込んだなら、勧誘を日本で受けたと言える形になります。現地に着いてから学校を回って決めたなら、その事情が無いことになります。

だから記録が要る

この分かれ目は、あとから「どこで勧誘を受けたか」を示せるかで決まります。契約が終わってから探すことになるものは、次のとおりです。

  1. 日本で受け取った案内・見積書・メールの日付
  2. 説明を受けた場所と日付(オンラインの場合は接続していた場所)
  3. 申し込みの操作をした場所

捨てないでおくのは1つ目です。日本にいるあいだに事業者から届いたものは、勧誘を常居所地で受けた事実に近いところにあります。

なお11条6項には3号もあり、契約の当時に事業者が消費者の常居所を知らず、知らなかったことに相当の理由があるときも適用されません。申込フォームに日本の住所を書いていれば、この号は当たりにくくなります。

「どこで契約したか」を書面から読む

契約書に署名した場所は、たいてい書面のどこにも書かれていません。だから1号に当たるかどうかは、契約の前後に何があったかで見ることになります。

見に行くのは、申し込みの操作をした日と、渡航した日の前後関係です。渡航前に申し込みを終えていれば、現地へ赴いて契約したとは言いにくくなります。渡航してから学校で書類に記入したなら、その形に近づきます。

現地で「まず1週間だけ」と申し込み、途中で延長したという形もあります。このとき延長は別の契約になりうるので、最初の申し込みと延長を分けて考えることになります。延長のぶんだけが現地で結ばれた契約になり、扱いが分かれる可能性があります。

日本の事業者との契約は別に数える

エージェントに払う手数料は、日本の事業者との契約です。ここは通則法の話になりません。その部分に2か月と5万円の線が当たるかどうかは、日本の事業者がレッスンそのものを提供しているかで決まります。

セブ島留学では、日本の事業者はあっせんだけをしていることが多いので、留学エージェントは誰と契約するかで分けた見方がそのまま要ります。費用の分け方は留学の費用は誰に払うかで分けるにまとめました。

まとめ

  • 準拠法を決めていなければ、消費者契約は消費者の常居所地法による(通則法11条2項)
  • 現地へ赴いて契約した場合と、履行が全部現地の場合は、11条の各項が適用されない(6項1号・2号)
  • ただし日本にいるあいだに勧誘を受けていたなら、ただし書きで戻る
  • 分かれ目は契約した場所ではなく、勧誘をどこで受けたか
  • 日本で受け取った案内と見積書の日付を残しておく

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。国境をまたぐ取引については、消費者庁が所管する越境消費者センター(CCJ)の窓口もあります。

出典