留学と語学を確かめる

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留学の費用は誰に払うかで分ける

公開

「3か月の留学で総額◯◯万円」という数字を見たとき、その中身は3つ以上に分かれています。

分けずに総額だけを比べると、同じ額でも含まれているものが違うことに気づけません。

払う相手ごとに分ける

  • 手数料・サポート費・登録料エージェントに払う

    やめたときに何が起きるか日本の事業者との契約。返還の条件は契約書による

  • 授業料・入学金学校に払う

    やめたときに何が起きるか契約の相手が現地の学校なら、その学校の規定による

  • 滞在費・食費・交通費・保険現地で自分が払う

    やめたときに何が起きるか契約ではないので返る返らないの話にならない

払う相手が違うので、やめたときに返る先も、及ぶ法律も別になる

留学の費用が分かれる先

「留学費用」と呼ばれているのは、この3つを足した数字です。そして比較サイトの表は、どこまでを含めているかがそれぞれ違います。

契約の相手が誰になるかは留学エージェントは誰と契約するかに分けて書きました。

広告に表示しなければならない項目は決まっている

エージェントのウェブサイトから申し込む形は、特定商取引法の通信販売にあたります。11条が、広告に表示すべき事項を定めています。

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。

1号が金額です。

商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)

2号が支払いの時期と方法です。

商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法

続けて、提供時期、申込みの期間の定め、申込みの撤回または解除に関する事項が並びます。つまり「いくらか」「いつどう払うか」「やめられるか」は、サイトに書いてあるはず、というのが法律の建て前です。

「詳しくはお問い合わせください」には条文の根拠がある

ところが金額が書かれていないサイトがあります。これには例外規定があります。

ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。

読むべきは「請求により…遅滞なく交付し」の部分です。請求すれば遅滞なく出す、と書いてあることが例外の条件になっています。

だから金額が出ていないサイトを見たときにやることは決まります。その旨の表示があるかを探し、あれば請求する。請求したのに遅滞なく出てこないなら、例外の条件を満たしていません。

「無料カウンセリングに来ていただければお伝えします」は、書面や電磁的記録を遅滞なく交付することとは別のことです。

5万円より多く前に払うなら、保全措置の欄を見る

日本の事業者が語学の教授を提供し、その契約が2か月と5万円の線を超える場合、概要書面に前払いの欄が付きます。特定商取引に関する法律施行規則92条です。

特定継続的役務提供に係る前払取引(特定継続的役務提供に先立つてその相手方から五万円を超える金銭を受領する特定継続的役務提供に係る取引をいう。以下同じ。)を行うときは、当該前払取引に係る前受金について保全措置を講じているか否か及び、保全措置を講じている場合には、その内容

留学は渡航の何か月も前に払うことが多いので、ここが効きます。保全措置を取っていない場合も「取っていない」と書かなければならない書き方になっています。何が書かれているはずかは概要書面は申し込む前に渡されるにまとめました。

「月◯万円から」の書き方は12条が見ている

金額を下限だけで見せる書き方には、次の条文が当たります。特定商取引法12条です。

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品若しくは当該権利の売買契約又は当該役務の役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

名指しされているのが「解除に関する事項」であることが読みどころです。性能や内容と並んで、やめ方の表示が誇大広告の対象に入っています。

だから「いつでもキャンセル無料」とだけ書いてあって、実際には出発日からの日数で違約金が変わる、という形はここに当たりえます。金額の下限表示より、やめ方の表示のほうが後で効いてきます。

為替の扱いを聞く

学校に払う分が現地通貨建ての場合、円での総額は申し込んだ時点では確定しません。見積書の円換算がいつのレートかと、差額が出たときにどちらが負担するかを聞きます。

同じことは、渡航後に追加で払う分にも起きます。滞在先の延長、教材の買い足し、帰国便の変更。これらは見積書の外にあるので、総額の比較には入っていません。先に払う分だけを比べて決めると、あとから増える分が見えないまま契約することになります。

聞き方は「他にかかるものはありますか」ではなく、「この見積に入っていないもので、現地で払うことになるものを挙げてください」です。前者は「特にありません」で終わりますが、後者は挙げてもらう形になります。

これは法律が決めていることではなく、契約の書き方で決まります。書いていなければ聞く、というだけの話ですが、総額を比べるときに最も差が出るところでもあります。

数える順序

  1. エージェントに払う額を、名目ごとに書き出す
  2. 学校に払う額を、通貨と換算日つきで書き出す
  3. 現地で自分が払う分(滞在費・保険・往復の渡航費)を分けて置く
  4. 1と2について、やめたときにいくら返るかを、契約したときに渡される契約書面で読む
  5. 前払いが5万円を超えるなら、概要書面の保全措置の欄を読む

総額を比べるのは、この5つを終えたあとです。先に総額を比べると、含まれているものが違う数字を並べることになります。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。

まとめ

  • 留学費用はエージェント・学校・現地の生活費に分かれ、含まれる範囲がサイトごとに違う
  • 通信販売の広告には、対価・支払いの時期と方法・解除に関する事項の表示義務がある(11条)
  • 金額を書かない例外は「請求により遅滞なく交付する旨の表示」が条件
  • 前払いが5万円を超えるなら、概要書面に前受金の保全措置の欄がある
  • 為替の換算日と差額の負担は契約の書き方次第。書いていなければ聞く

出典