交換留学の単位には六十単位の上限がある
交換留学は、在学したまま外国の大学へ行く形です。語学学校に通う留学と違って、向こうで受けた授業が単位になります。
その単位がいくつまで卒業に使えるかは、大学ではなく省令が先に決めています。
外国の大学は、28条2項で入ってくる
根拠は大学設置基準28条です。1項は国内の話をしています。
大学は、教育上有益と認めるときは、学生が大学の定めるところにより他の大学、専門職大学又は短期大学において履修した授業科目について修得した単位を、六十単位を超えない範囲で当該大学における授業科目の履修により修得したものとみなすことができる。
外国の大学はここに書かれていません。出てくるのは2項です。
前項の規定は、学生が、外国の大学(専門職大学に相当する外国の大学を含む。以下同じ。)又は外国の短期大学に留学する場合、外国の大学又は外国の短期大学が行う通信教育における授業科目を我が国において履修する場合及び外国の大学又は外国の短期大学の教育課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられた教育施設であつて、文部科学大臣が別に指定するものの当該教育課程における授業科目を我が国において履修する場合について準用する。
「準用する」なので、1項の中身がそのまま持ち込まれます。六十単位という上限も、「教育上有益と認めるとき」という条件も、「大学の定めるところにより」という手続も、全部が留学に掛かります。
卒業に必要なのは百二十四単位
上限の意味は、卒業の要件と並べたときに出ます。32条1項です。
卒業の要件は、百二十四単位以上を修得することのほか、大学が定めることとする。
他の大学や外国の大学で修得した単位のうち、みなすことができる数六十単位
六十単位まで
大学が認めれば、卒業に必要な百二十四単位の一部に算入される
六十単位を超える分
28条1項の範囲の外なので、この規定では算入されない
百二十四単位の半分に届きません。留学の期間をどれだけ延ばしても、この規定で卒業単位に入る数は増えない、という形になっています。
枠は、他の制度と共有している
見落とされやすいのは、六十単位が留学だけの枠ではないことです。29条2項がこう書いています。
前項により与えることができる単位数は、前条第一項及び第二項により当該大学において修得したものとみなす単位数と合わせて六十単位を超えないものとする。
29条1項は、大学以外の教育施設等における学修を単位にする規定です。その分と、28条1項・2項の分を合わせて六十単位です。
30条4項も同じ形で、入学する前に修得した単位を加えるときに、28条1項と29条1項の分と合わせて六十単位を超えないとしています。
28条1項・2項
- 他の大学で履修した単位
- 2項の準用で外国の大学が入る
- 上限は六十単位
29条1項
- 大学以外の教育施設等における学修
- 29条2項で28条の分と合算される
- 合わせて六十単位
30条(入学前の既修得単位)
- 入学する前に修得した単位
- 30条4項で28条・29条の分と合算される
- 合わせて六十単位
どの規定で単位を入れても、合算した数が同じ上限に当たる
だから編入や科目等履修を経験している人ほど、留学に回せる残りが少なくなります。自分がすでに何単位を使っているかは、留学を決める前に大学の窓口で聞くところです。
「みなすことができる」と「みなすものとする」
条文の語尾も読み分けます。28条1項は「みなすことができる」です。決めるのは大学で、義務ではありません。
一方、27条の3はこうなっています。
大学は、学生が他の大学、専門職大学又は短期大学において履修した連携開設科目について修得した単位を、当該大学における授業科目の履修により修得したものとみなすものとする。
こちらは「みなすものとする」で、大学の裁量に委ねる書き方ではありません。同じ省令の中で語尾が使い分けられています。留学の単位が入るかどうかは、行く前に大学の規程で確かめることになります。
単位そのものの評価も27条が大学に委ねています。
大学は、一の授業科目を履修した学生に対しては、試験その他の大学が定める適切な方法により学修の成果を評価して単位を与えるものとする。
契約の相手も、語学留学とは違う
交換留学は大学間の取決めで行くので、授業料を払う相手が在籍している大学のままになることがあります。あっせん事業者を通さない形なので、そこでの契約が発生しません。
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決める前に確かめること
- 自分の大学の規程で、留学の単位をみなす上限が何単位になっているか
- すでに使っている枠(編入・科目等履修・入学前の既修得単位)が何単位あるか
- 留学先で取る予定の科目が、みなしの対象として認められるか
- 認定の手続をいつまでに出すのか
1番目と2番目は、留学先を決める前に分かります。行き先の魅力から先に決めると、帰ってきてから足りない単位を取り直すことになります。
まとめ
- 外国の大学への留学は、大学設置基準28条2項が1項を準用する形で入っている
- 1項の上限は六十単位で、卒業に必要な百二十四単位の半分に届かない
- 六十単位の枠は29条・30条の分と合算される。留学だけの枠ではない
- 28条は「みなすことができる」で、決めるのは大学
- 27条の3の連携開設科目だけが「みなすものとする」と書かれている