留学中の国民年金は続けるかを選ぶ
住民票を抜いて渡航すると、国民年金の保険料の納付書が止まります。払わなくてよくなった、と読めます。
止まる理由は免除ではなく、被保険者から外れることです。そして外れた人のために、続ける道が別に用意されています。選ぶのはこちらなので、何が変わるのかを先に見ておきます。
第1号被保険者は住所で決まっている
国民年金法7条1項1号が、第1号被保険者をこう決めています。
日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの
「日本国内に住所を有する」が先頭にあります。住民票を抜いて海外に住所を移すと、この号から外れます**。保険料を払う義務がなくなるのは、免除されたからではありません。**
住民票を抜くかどうかの判断そのものは留学の保険は住民票を抜くかで変わるにまとめました。健康保険と同じ届出で動きます。
配偶者が会社員なら、外れないことがある
同じ7条1項の3号に、例外が書き込まれています。第2号被保険者(厚生年金の被保険者)に扶養されている配偶者について、日本国内に住所を有する者に加えて「外国において留学をする学生」その他日本国内に生活の基礎があると認められる者が並んでいます。
つまり配偶者が会社員や公務員で、その扶養に入っている場合、留学しても第3号被保険者のままでいられることがあります。この場合は保険料の納付も続きません。自分が第何号なのかで、以下の話が当たるかどうかが変わります。
続ける道は附則にある
外れた人が続けられる仕組みは、国民年金法の附則にあります。任意加入被保険者の規定で、対象の一つがこれです。
日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの
日本国籍があって、日本国内に住所がなく、20歳以上65歳未満。留学やワーキングホリデーで渡航している人が当てはまります。申し出た日に資格を取得する形で、強制ではありません。
やめるほうも同じ附則に書かれています。
第一項の規定による被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
「いつでも」なので、渡航後に続けると決めて、途中でやめることもできます。
選ぶときに見るのは、障害のほうの要件
任意で続ける
- 保険料を払う
- その期間が保険料納付済期間になる
- 海外にいるあいだも被保険者にあたる
続けない
- 保険料を払わない
- その期間は保険料納付済期間にならない
- 海外にいるあいだは被保険者にあたらない
老齢のほうは期間の足し算だが、障害のほうは初診日にどうだったかで決まる
効いてくるのが30条です。障害基礎年金は、初診日において次のどちらかに該当した者に支給する、という形になっていて、1号が「被保険者であること」です。2号がこれです。
二被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。
2号は日本国内に住所があって60歳以上65歳未満の人を指しています。留学やワーキングホリデーの年代は、ここには当たりません。そうすると、海外に住んでいるあいだに初診日がある傷病では、1号に当たるかどうかが問題になります。
任意で続けていれば被保険者なので1号に当たります。続けていなければ当たりません。同じ怪我や病気でも、渡航前にどちらを選んだかで要件の当たり方が変わることになります。
保険とは別の話になる
海外で医療にかかったときに出る療養費は健康保険の側の話で、年金とは別の制度です。どちらか一方を手続きしたから、もう一方も済んでいる、とはなりません。
療養費のほうは留学の保険は住民票を抜くかで変わるにあります。海外旅行保険に入っていても、この年金の話は動きません。
渡航前に決めておくこと
- 自分が第何号被保険者かを確かめる。会社員の扶養に入っているなら3号のことがある
- 住民票を抜くかを決める。抜くと1号から外れる
- 抜くなら、任意で続けるかを決める。申し出た日に資格を取得する
- 続けない場合、保険料を払う口座や納付書の扱いを整理しておく
- 帰国したら、住民票を戻す届出と一緒に年金の扱いも確かめる
3番目は渡航後でも申し出られますが、申し出た日からなので、渡航してから決めるまでの期間は空きます。
手続きの書面の話は概要書面は申し込む前に渡されるとは別で、こちらは市区町村の窓口と年金の制度になります。奨学金の対象の決まり方は留学の奨学金は、法律が対象を決めているにまとめました。
制度の内容で迷ったときは、住んでいた市区町村の国民年金の窓口か、日本年金機構の窓口で確かめてください。
まとめ
- 7条1項1号の第1号被保険者は「日本国内に住所を有する」が要件で、住所を移すと外れる
- 7条1項3号には「外国において留学をする学生」が書き込まれていて、第3号のままのことがある
- 附則の任意加入被保険者に、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満が入っている
- 任意加入はいつでも申し出て資格を喪失できる
- 30条2号は日本国内に住所があって60歳以上65歳未満を指すので、留学の年代は1号に当たるかで決まる